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コラム

知財風土記
!第3回 
「サンフランシスコ紀行」

国際商標協会(INTA)の会合に参加するため、5月の中旬、サンフランシスコを訪れた。この地は海流の影響か、いつ来ても寒い思いをするが、今年は雨も加わって本当に寒かった。普段は日照りが続くロサンジェルスに雨が降ったり少し内陸では雪も積もったというから、米西岸はよほど天候不順だったのだろう。
参加の登録をまえに、会議場と目と鼻の先にあるサンフランシスコ現代美術館をのぞいた。ニューヨークほどではないが、ここの美術館も予想以上に見ごたえがある。
館蔵品による20世紀アート・選ばれた歴史と題した企画展示は、現代美術史観をはっきりと相対化する姿勢で貫かれている。ピカソもマチス、ダリもいいが、ともすればヨーロッパ中心になりやすいところに自国と南米の作家を大幅に加え、同時並行で何が起こっていたかを回顧させる工夫がある。
エドワード・マイブリッジという写真家が19世紀の中ごろからサンフランシスコの変容に肉薄した写真群の展示室には、もっと目を引かれた。この時代の写真家はアンセル・アダムズが有名だが、マイブリッジの仕事もすごい。1868年にサンフランシスコを襲った地震の写真は、家の傾きをしっかりとらえ、その記録性は貴重だ。日本では将軍を退いたコ川慶喜が道楽に日本風景を写していたころだ。また、この町が出来上がっていく過程をとらえたパノラマ写真には、職人的な腕も認められる。
最上階には音を扱う作家ビル・フォンタナのインスタレーションがあって、吹き抜けの空間に渡した鉄の踏板を歩く音が回転する平面スピーカーから流れてくる外部の環境音と重なり、不思議な聴体験へと誘う。視覚優位の美術館のなかで音を意識化させる試みとしておもしろい。
またこの階の別室には、映画「シンドラーのリスト」を撮ったスピルバーグの虚構を、実際の現地ポーランドの住人による証言で暴いていく展示もあり、見る人を虚構と真実をめぐる考えに呼び込もうとしている。現代美術にはこんな表現方法もあるのかと思わせる。
美術館を一巡したところで最上階の窓から外を見ると、幾重にも重なる高層ビルのシルエットがまた一つの美術として対象化されて見えてくる。この時間に、もっともくつろぎを感じた。
さて、INTAは主催者の発表によると全世界から9千人の参加登録があったという、大イベントだ。毎年参加していると、声を掛け合う旧知や顔なじみが増えてくるのが楽しい。
会期中開かれた商標実務者向けのセミナーでは、ユーチューブやフェイスブックといったソーシャル・メディアの中で商標が使われたときの問題を議論するものが注目された。企業イメージを損なうような仕方で商標を含む映像がユーチューブに掲載されたらどうするか。逆にフェイスブックを使ってブランドイメージを向上させることはできないか。興味のあるところだ。
日本では地域団体商標制度の導入によって議論は盛りあがらないが、地理的表示をどういう仕組みで保護するかには欧米間に対立があり、この議論も今年のINTAで繰り返されている。
商標実務者のお祭りのような感のある催しながら、特許関係者も多く参加している。サンフランシスコで出会った彼らの何人かは、来日時に事務所を訪れたいといっていた。もちろん大歓迎である。(2011.5)

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