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コラム

知財風土記
!第2回 
「北京雑感」

柳絮(りゅうじょ)が雪のように飛ぶ4月の中旬、北京で実務者を対象とした国際知的財産セミナーが開かれ、講師に招かれて参加した。精華大学近くのタワービル内にある会議室に当地の企業や研究機関で知財業務に携わる人たちが集まって、熱心に聴講してくれた。
講師には地元中国のほか、日本や欧米の弁理士が招かれていて、私に与えられたテーマは「最近の日本における知財政策」というものだった。
地震と福島の原発事故から一月後のことで、2時間の講演枠を与えられていたので、まず地震のその後から話し始める。たまたま北京に来る飛行機の中では、復興構想会議の発足と基本方針を伝える首相談話をニュースで流していた。それを引用しながら、地元の意向を尊重し、広く英知を集め、未来志向の復興とするという方針について話す。
死者、行方不明者の大変な数、避難所にいる多くの罹災者、がれきの山、さらに気がかりな原発事故の推移など、復興は容易でないが、関東や阪神・淡路の大震災、さらに大戦による国土の被災を過去に乗り切ってきた日本は、今度も必ず復興するだろうとの思いを伝えた。新規の雇用はむしろ増やす意向の企業が目立つという新聞の調査結果や、中国から来たパンダが披露される動物園に行列ができるほど、首都は落ち着いているなども、話に盛り込んだ。
復興が本格化する今後、その需要を当て込んで海外からの物資の流入は加速化し、また競争も激化するだろうから、日本で必要な知的財産権を確保することも忘れずに、という前置きから本題に入る。
ここでは地震の被災者に向けた特許庁への手続きの特別措置を紹介し、続いて国会に上程されている特許法等の改正案について、その必要とされる背景に焦点を当てながら話す。急速に日本を追い上げている中国も、いずれ同様な状況に遭遇すると予想されるからだ。
次いで、日本の知財分野を概括するとき、オープン・イノベーションが進んでいることを説く。1枚のDVDに必須の特許が2千もあるという話、それらのすべてを独占することができない環境では、ポートフォリオ、つまり手持ちの知財を増やして、競争相手と互いに融通しあう方向に進むしかないこと。特許の審査と紛争処理には迅速化が求められていること。外国市場を意識した国外での権利取得の必要性などをあげ、法案が出来上がったことも話す。そして、ライセンス契約の保護を強化する当然対抗制度や、共同研究の一部の発明者が他の発明者に無断で特許を取得してしまった時、特許権を自らに返還請求できる制度の導入が目指されていることを説明。さらに、中小企業への総合的な支援策にも触れて、話を締めくくった。
終わると、若い女性の聴講生が私のところに寄ってきて、これをと言って手渡してくれるものがある。見ると茶色の木の実を連ねた数珠ではないか。地震による死者を悼む気持ちだろうか。また、現代中国に仏教信者が増えているのだろうか。これには驚きとともに、胸を衝かれた。(2011.4)

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